平成30年1月23日(火)18:00~19:00
法人内研修を行いました。
テーマは『人権研修』
今回の研修では全事業所(特養・ショート・デイ・ケアプランセンター)の職員が出席しました。
講師は、施設課長兼在宅課長の北野が担当させていただきました。
今回の「人権研修」というテーマ
「堅苦しい内容のものやろなぁ」と、皆さんの表情・雰囲気から伝わるものがありました。
講義を行う上で心がけていることがあるのですが、どのようなテーマであっても事例を通してお伝えする。身近な事柄であるため、伝わりやすくなるかと考えます。
また、一方的に話をする(伝える)だけでなく、皆で考えるということを大切に、学びを深めていきたいと考えています。
皆さん真剣な眼差しで研修を受けています。
では、どのような研修を行ったのか、一部お伝えしたいと思います。
在宅部門では「迅速・丁寧・柔軟」という方針を掲げており、浸透しているところかと考えます。特養では「柔軟な視点・斬新な発想」が大切であるということをお伝えしているところです。
今までに当たり前のように行ってきたことが、実は当たり前ではない。
今までの自分たちの考え方・行動を否定されたように捉えられるかもしれませんが、否定されているのではなく「そういった考え方があるのか!」「なるほど。そういう考え方もできるよね」と、
見方を少し変えるだけで違った考え方や解釈もできるのではないでしょうか。
優心会では「不穏・徘徊・認知・クリア・遊ぶ」などの表現が用いられることが当然のようにありました。
しかし、その表現方法は本当に適切なものであるのかと考えることになりました。
例えば・・・
【不穏】
誰から見ての「不穏」なのでしょうか?
「声をかけても聞く耳を持ってもらえず、歩き回り落ち着いて過ごしていない」=「不穏」?
落ち着かない原因は何でしょうか。その原因が何かを考えずに、ただ単に落ち着いていない様子から「不穏」という表現を用いているのではないでしょうか。
職員(支援者)側から見て、「あの方は今、不穏やから」とその背景にあるものを見ずに勝手に決めつけていないでしょうか。
【徘徊】
本当にあてもなく歩き回っているのでしょうか?
「家に帰りたい」「家族を探している」「○○へ行きたい」など、何か目的をもっていませんか。
言葉を発することが難しくても、過ごしてこられた生活の中から考えることはできないでしょうか。日々の生活の中でキッカケとなるような物事はないでしょうか。
「徘徊」という言葉で済ませてしまっていませんか。
【認知】
「あの人、認知やから」「認知が進んでいる」など、認知症(または認知症の方)を略して、「認知」と表現していませんか?
「認知=認知症」ではありません。
認知症は以前、痴呆症と呼ばれていた時期がありました。
「痴」=おろかなこと
「呆」=あきれること
誤解や偏見が生じ、差別的な意味合いとも捉えられることもあり、名称が変更されることとなりました。
深く考えずに、みんなが略しているから自然と「認知」と略して呼んでいるのではないかと考えます。
しかし、略して呼んでいること自体が、認知症の方を見下した差別的な表現となっているのではないでしょうか。
【クリア】
医療現場では「意識レベルが低下した状態から回復し、クリアになった」という表現を用いるといいます。
しかし、認知症というご病気を意味して「頭がクリアやから」と表現される場面をこれまでにも何度も耳にしてきました。
認知症というご病気が差別的な表現の一部としてとして使われていませんか。
偏見を無くすためにも言葉がもたらす影響は大きいと考えます。
【遊ぶ】
一見すると、何のこと?と思われるかもしれません。
でも食事の場面で、食事を混ぜたり、お箸やスプーンなどを使わず手で食べたりする行動を見て「遊ぶ」という表現を耳にすることもあります。
本当に食事で遊んでいるのでしょうか。ここまでの話を振り返ってみてもらえれば、言われずとも察していただけるかと思います。
ということで、研修のほんの一部にはなりますが、このような内容も含め、偏見が不適切な支援へとつながり、人権侵害や虐待へとつながっていくのではないかということを皆で学ぶ機会とさせていただきました。
【アンケート結果】
研修での気づきや、今後どのような行動を起こそうと思ったかなどのアンケートの記載をお願いしています。一部、記載させていただきます。
・日頃、業務に追われることが多くケアについて再度見直しが必要だと思いました。
・消極的な介護から本人様の自由を尊重する介護へ少しずつでも変われたらと思います。
・普段から使っていた言葉が不適切だと気づくことができ、気をつけようと思った。
・ご入居者様を一番に考え、ご自身のできることは時間がかかってもやってもらおうと思いました。
・自部署、他部署関係なく権利擁護等、気づいた点をお伝えする。
・認知症の人に対して、もっと知りたくなりました。「この人はこうだろう」という思い込みがあるので、その行動の背景の理解に努め、接していけたらと思います。
・記録、言葉に気をつけ、不適切な言葉を使用している時には他の職員にも声をかけていきます。
・自立支援の大切さに改めて気づきました。
・入居者様の想いを汲み取り、対応できる力が必要だと思いました。
・入居者様ができることを把握し、色々なことに取り組んでいただけるようにします。
・自身の言動が知らないうちに人権を侵害しているかもしれないと思った。
・今回の研修を通じて日々のケアが間違いではなかったと感じ、その人らしい生活の支えになるように行動したい。
・専門学校で学んだことの無い知識、実例を通して、本当に勉強になりました。
優心会では、完璧な支援ができているわけではありません。
知らず知らずのうちに日々の環境に慣れてしまい、抜け落ちていくことは誰しもがあることかと考えます。
アンケート結果からも、日ごろから取り組んでいることではありますが、時には今回のような研修を通して柔軟な視点を養い、普段の支援について見直す機会にもなったかと感じます。
今後も認知症に対する理解を深め、優心会に関わるすべての方々が笑顔であふれるように取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。
社会福祉法人 優心会
課長 北野 智傑